。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
『はい、龍崎です』
聞き慣れた声がして、あたしはほっと胸を撫で下ろした。
ちょっとくすぐるような甘い声…
だけど寝起きなのかな、よそ行きにしてはいつもよりテンションが低いし、ちょっとかすれてる感じ。
「あ、戒?悪いんだけどさぁ雨降ってきちゃったんだよね?洗濯物取り入れてくれないか?」
『……雨?』
「そ。急に降ってきちゃったんだよね。ところでお前バイトは?今日は夜までって言ってなかったっけ?」
『……えっと…』電話の向こうで戒は口ごもった。
「あ、分かった。お前何かやらかしたんだろ。それでクビになったか?」
『いえ…俺……』やけに歯切れが悪い。
「ああ、近くに誰か居るの?」
『いえ……俺、響輔です……』
えっ!??
「嘘っ!」
『嘘じゃありませんよ。…普通間違えますかね?彼氏の声を…』
ちょっと呆れたような…でもいつものテンションで答えが返って来て、
間違いない!キョウスケだっ!!
ぎゃぁああ!ありえねぇっ!!
っつうか、間違えンなよ!あたしも!!
で、でもあの二人身長も同じぐらいだし、体系もほとんど同じだから、きっと声の質も似てるんだよな~
なんて言い訳して…
恥ずかしい思いで、あたしは通話を切った。