。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「キョ、キョウスケ!?お前酔っ払ってる!?」
お膝の上であたしはキョウスケの無表情の顔を見た。
キョウスケはその能面みてぇな顔に、ちょっとだけ笑みを浮かべると、
「いいえ。素面(シラフ)です」なんてきっぱり答えやがった。
「飲んでなかったら変なヤクでもやってんのか?」
うちでヤクはご法度だ。もちろん叔父貴もやってねぇし、少しでも関わりを持ったヤツは龍崎組を永久追放だ。
あたしはちょっと疑うような目でキョウスケをじっと見つめたけど、キョウスケの表情はいつも通り。
「こいつはクスリなんてちんけなものやってねぇよ。こいつが興味あるのはマシンのことだけだ」
戒が割り込んで、あたしをあっさりさらっていく。
よいしょ、と掛け声とともに抱き上げられ、でも今度は戒の隣にちょこんと下ろされる。
戒のお膝の上じゃないからいいものを…
「おめぇら、あたしを荷物扱いしてんじゃねぇよ」からかわれたように思えて、あたしはちょっと怒った。
「荷物か。まぁおめぇちっこいし、鞄に入りそうだよな」
戒がケケケと笑って、そしてずいと顔を寄せてくる。
不意打ちに顔を寄せられて、あたしの心臓がドキリと波打った。
「鞄に入れていつも持ち歩けたらいいのにな。
そしたらいつも一緒に居られるのに」
なんて低い声で、急に甘い声で囁かれて……
あたしはまたもKOされそうになった。