。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
あたしの言葉に二人が同時にぴくりと僅かに身動きした。
それと同時に、あたしはキョウスケもその女のことを知っていることに気づいた。
「何だよ。おめぇも知ってたのかよ」
あたし一人だけ取り残されたみたいで、あたしは居心地が悪かった。
また仲間はずれかよ!
「いえ。俺は戒さんから聞いただけです。実際には会ってはいませんが」
キョウスケは弁解するように手を振っている。
戒は腕を組んだまま、あたしを睨むように視線を険しくさせた。
「そいつの名前はイチユウだ。漢数字の一に結ぶで、“一結”。その女が自分で名乗ったのか?」
イチユウ…変わった名前だな……
「いや。あの幽霊女は自分の正体を明かさなかったよ。ただ、叔父貴がそう呼んでた」
「琢磨さんの知り合いなのか!?」
戒が勢い込んできたので、あたしはびっくりして思わず体を引いた。
「いや…はっきりは知らない。……でも、親しくは……なさそうだった…」
「何話したんだ!」
戒があたしの両肩を掴んで、真正面からあたしを覗き込んだ。
その鬼気迫る迫力に、あたしは目をまばたいて息を呑む。
戒―――……
どうしたって言うんだよ。あの幽霊女と何かあったのか?
戒、普通じゃない。
不安になって心臓の辺りでぎゅっと拳を握り、思わず口を噤むと、
「まぁまぁ戒さん。そんな怖い顔で勢い込むと、お嬢が怖がっちゃいますよ」
と言って、やんわりとキョウスケが戒の腕を引き剥がした。
正直……ちょっと安心した。
だって戒―――
ちょっと怖かったもん……