。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「早く言うも何も、関係ないと思ったんだもん!全部お前に報告する必要ねぇだろ!」
「だけど大ごとになってンじゃんかよ!」
あたしたちの声がキョウスケの部屋に響いて、キョウスケは迷惑そうに顔をしかめると、額に手をやった。
「お嬢にはお嬢の判断があったんでしょう。ここで言い合いしてても、埒があきません。その後どうするか考えなければ」
さすが年上で一番落ち着きのあるキョウスケだ。あたしと戒じゃ話が進まねぇよな。
頼りになるぜ~。
そだ。鴇田と言えば……
「鴇田兄…ドクター鴇田が青龍会本部に居た。幽霊女が逃げた場所からひょっこり出てきて、絶対あの女を見てるはずなのに、知らないの一点張りだった」
「ドクター鴇田が…?今度は兄貴かよ…」
戒は考えに行き詰ったように額に手をやり、膝を立てた。
ロダンの“考える人”みたいなかっこだ。
って、んなこと今はどーでもいい!
「あいつら、やっぱ幽霊女に何か関係してるのかな?」
「まぁ少なからず…存在は知っているようですね。龍崎会長と鴇田兄弟。俺たちにその女の存在を知られたくないようだ」
キョウスケはどこか遠くを見て呟いた。
「でも仲間ではない……と思う…」
あたしは正座した膝をパジャマの上からぎゅっと握った。
あの幽霊女の言葉が蘇る。
「あの女は叔父貴のことを――信用してないみたいだ。
“龍崎会長と狐の嫁入りには気をつけて”って言った」