。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「狐の嫁入り……」
戒が腕を退けてあたしをちらりと見る。
「だけどあの女は狐じゃねぇぞ。“狐の嫁入り”とは夕立のことだ」
あたしが得意げに言うと、
「んなこたぁ分かっとるわ!」とまた言われた。
目の前にキョウスケがちょっと面白そうに口元を歪めている。
「「何が面白いんだよ!」」
あたしと戒が二人してハモると、キョウスケを睨んだ。
「いえ。なるほどね…って思いまして。青龍会本部に俺は行ったことがないんですが、お嬢は神秘的な場所だとおっしゃいましたよね」
あたしはこくこく頷く。
「おまけに近くには墓場。白い着物と赤い数珠でそれらしく扮装して、さらにはもっともらしく天候を予期すれば、素直なお嬢は怖がるはず」
「て、天候を予想することって…可能なの??だって今日はすっげー晴れてたし、天気予報でも降水確率が0%だったよ?」
「まぁ風の動きと、雲の動き、それから匂いなんかで分かるやつは分かるな」
戒は妙に納得顔で頷いた。
「なるほど、そうやってその女はもっともらしい状況を作り上げ、ちょっと浮世離れした女を演出したってわけだ」
な、なるほど……
「で…でも何のために?」
あたしの質問に、戒とキョウスケは顔を見合わせ、
「「それは分からん(分かりません)」」
と二人声を揃えた。
おい!てめぇら!!しっかりしろよ!!