。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


「狐の嫁入り……」


戒が腕を退けてあたしをちらりと見る。


「だけどあの女は狐じゃねぇぞ。“狐の嫁入り”とは夕立のことだ」


あたしが得意げに言うと、


「んなこたぁ分かっとるわ!」とまた言われた。


目の前にキョウスケがちょっと面白そうに口元を歪めている。


「「何が面白いんだよ!」」


あたしと戒が二人してハモると、キョウスケを睨んだ。


「いえ。なるほどね…って思いまして。青龍会本部に俺は行ったことがないんですが、お嬢は神秘的な場所だとおっしゃいましたよね」


あたしはこくこく頷く。


「おまけに近くには墓場。白い着物と赤い数珠でそれらしく扮装して、さらにはもっともらしく天候を予期すれば、素直なお嬢は怖がるはず」


「て、天候を予想することって…可能なの??だって今日はすっげー晴れてたし、天気予報でも降水確率が0%だったよ?」


「まぁ風の動きと、雲の動き、それから匂いなんかで分かるやつは分かるな」


戒は妙に納得顔で頷いた。


「なるほど、そうやってその女はもっともらしい状況を作り上げ、ちょっと浮世離れした女を演出したってわけだ」


な、なるほど……


「で…でも何のために?」


あたしの質問に、戒とキョウスケは顔を見合わせ、


「「それは分からん(分かりません)」」


と二人声を揃えた。


おい!てめぇら!!しっかりしろよ!!








< 176 / 592 >

この作品をシェア

pagetop