。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「と、まぁそれは冗談で」
キョウスケが考え込むように口元に手をやる。
ってか冗談かよ!おめぇでも冗談なんて言うのかよ!ってかその顔でじょーだんとかないんですけど!
って突っ込みどころは満載だったけど、あたしは大人しくキョウスケの次の言葉を待った。
「そのイチとか言う女は最初お嬢の前に現れるつもりはなかったんじゃないですかね」
「ど……どーして…?」
「それは分かりませんが」
おい!
「でも琢磨さんも鴇田兄弟も隠してるつもりだし、あいつらからきつく言われてるに違いねぇな」
「イチとその三人は何らかの利害関係があるとは思いますが、イチの方は……彼らを信用していない。そう裏付けるのが妥当ですね」
利害……関係…
「それに琢磨さんらしくないやり方だな。どこか引っかかる」
戒が視線を険しくさせて、立てた膝に顎を乗せた。
その視線はどこか遠くの方を彷徨っている。
「らしくないって……?」
あたしがおずおずと聞いてみると、戒はその険しかった瞳をふっと緩めてあたしを見つめてきた。
「恐らく、あいつらにとってイチの存在が出てきたのは突然の出来事だったんだ。想定もしてなかったって言った方が正しいのか」
「イチの方から何らかの接触があったと言っていいでしょうね。そうなると、その女は会長たちの何かを握ってることになる」
「な、何か……?」
「ああ。俺たちも知らない何か……だ」
叔父貴にはまだまだ秘密があるってこと―――……?