。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


「あーーーっ!!もぉっ!わかんねぇ!!」


珍しく戒が余裕のない顔で低く唸ると、その柔らかそうな髪を骨ばった手で掻きむしった。


茶色い髪がぐしゃぐしゃ。


無造作に乱れてるのが……なんか可愛いかも…


って言うか、こいつがこんなに悩んでるのが珍しいことで…


いつも余裕のある飄々とした態度だから、ちょっと新鮮―――


あたしはぴょんぴょん跳ねている戒の毛先にちょっとだけ触れた。


戒がびっくりしたように顔を上げる。


琥珀色の瞳と空中で目が合った。


あたしはその視線に笑顔を返して、


「そんなに掻きむしるなよ。ハゲるぜ」と言って髪の乱れを直した。


「ハゲるって!お前なぁ。男に向かってソレを言う!!」


戒は膨れ面をしたけど、すぐにちょっと表情を和らげてふっと笑った。


「やっぱおめぇの笑顔は元気が出る」


そう言って、さりげなく頭を肩にもたれ掛からせてきた。


戒のふわふわした毛先が首に当たってくすぐったい。


風呂あがりなのか、シャンプーのいい香りがするし。


ドキ…


ドキドキ…



何か……あたしたち…イイ感じじゃない??


そんな風に思ってたら、



ぐいっ!



突如、反対側からキョウスケに腕を引っ張られた。





< 178 / 592 >

この作品をシェア

pagetop