。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「あーーーっ!!もぉっ!わかんねぇ!!」
珍しく戒が余裕のない顔で低く唸ると、その柔らかそうな髪を骨ばった手で掻きむしった。
茶色い髪がぐしゃぐしゃ。
無造作に乱れてるのが……なんか可愛いかも…
って言うか、こいつがこんなに悩んでるのが珍しいことで…
いつも余裕のある飄々とした態度だから、ちょっと新鮮―――
あたしはぴょんぴょん跳ねている戒の毛先にちょっとだけ触れた。
戒がびっくりしたように顔を上げる。
琥珀色の瞳と空中で目が合った。
あたしはその視線に笑顔を返して、
「そんなに掻きむしるなよ。ハゲるぜ」と言って髪の乱れを直した。
「ハゲるって!お前なぁ。男に向かってソレを言う!!」
戒は膨れ面をしたけど、すぐにちょっと表情を和らげてふっと笑った。
「やっぱおめぇの笑顔は元気が出る」
そう言って、さりげなく頭を肩にもたれ掛からせてきた。
戒のふわふわした毛先が首に当たってくすぐったい。
風呂あがりなのか、シャンプーのいい香りがするし。
ドキ…
ドキドキ…
何か……あたしたち…イイ感じじゃない??
そんな風に思ってたら、
ぐいっ!
突如、反対側からキョウスケに腕を引っ張られた。