。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「戒―――すき……」
あたしは口付けの合間にそっと囁き、戒の首にぎゅっとしがみついた。
戒が唇をゆっくりと離して、柔らかな光を湛えた瞳であたしを優しく見つめる。
いつもの狼チックな目つきじゃなくて、
本当に優しくて穏やかな視線。
「俺も好きや。お前を誰にも渡したない―――あいつにも…」
戒が指してる“あいつ”とは叔父貴のことだと思ったけど、
何だかそれだけじゃないニュアンスに聞こえた。
もっともっと近くに居て―――それはもっともっと戒にとって脅威である存在だと
切なげな瞳が物語っていた。
「………戒?」
不思議そうに戒を見つめると、戒はちょっとだけ眉を寄せて顔を傾け、そして顎にチュっとキスを落とした。
戒の柔らかい髪の毛先が頬にあたり、くすぐったくてちょっと首をのけぞらせると、戒の唇が首筋に落ちてきた。
「朔羅の香り……すっげぇ好き」
囁かれて、あたしは顔が熱くなるのが分かる。
柔らかい唇の感触がして、僅かな…ほんとに僅かだけど小さな痛みが走った。
以前―――
同じ場所に同じように叔父貴につけられたキスマークを見て、戒は機嫌を悪そうにしていた。
そのあと言い合いになって喧嘩して…
あのとき、あたしはちっとも戒の気持ちに気付いてなかった。
だけど喧嘩をして気付いたこともあったよ。
その頃からあたし……戒に惹かれてた―――