。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「実の妹に会うのが何故いけないの?」
イチは無邪気に首を傾けて、俺に笑いかける。
俺は目を細めた。思わずイチの笑顔から顔を背けたくなったが、その衝動をどうにかこらえる。
「まだそんなこと言ってるのか。あの人とお前には何の繋がりもない」
「あくまでシラを切り通すつもりね。いいわ。あんたがそのつもりならこっちも考えがある」
含み笑いを漏らして、イチは俺に掴まれた手を引っ込めようとする。
「痛いわ。放してよ」
「放すわけにはいかない。お前は―――何を考えている」
「な・い・しょ♪」イチは楽しそうに笑って唇に指を当てた。
「一結!」
思わず怒鳴り声を上げると、
「こんなところで喧嘩かい?」
と、聞きなれた男の声が聞こえてきた。
トレードマークの白衣を着ていなかったから、思わず誰かと思ったが、実の兄貴を見間違える筈がない。
「あんたも来てたのか」
「ちょっと用があったのでね。弟よ、かよわいレディーに乱暴はよしたまえよ。それにあんまり興奮すると鼻血が出るよ」
フフっと笑って、衛は俺たちに近づいてきた。
正直―――拍子抜けした。
俺はどうも衛(マモル)が苦手だ。力関係とか家族に対しての思いやりがあってとか、そうゆうのじゃない。
ただ、何となく……こいつには生気を吸い取られるみたいだから。
実の兄貴だというのに、何を考えてるのかさっぱりだ。