。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「無関係ではないと思います。会長も知っておられるみたいだし、さらにはあなたのお兄さんも関係している。
三人の中のどなたかの身内だと思いますが、俺はあなたの近親者じゃないか―――と考えています」
キョウスケの切れ長の黒い瞳に、一筋の光が走っている。
それは獲物を狙う鷹の目。
大きな羽を伸ばし、鋭い眼孔を光らせ、目の前の鴇に喰らいつこうとしている。
ガキとは言え、大した迫力だ。
妙な感心を覚えながらも、俺は冷静な対処方法を素早く頭の中で計算した。
「近親者―――ねぇ。私の両親はずっと前に他界したから、血縁上の繋がりはあの(変態)兄しか居ない。お前も会ったろう?
両親には兄弟が居ないから、従姉弟と呼べる者もいない。結婚もしたことがないから、当然子供も居ない。なんなら戸籍謄本でも見せようか」
俺の淡々とした答えに、キョウスケは少しも表情を変えずに返してきた。
「戸籍謄本が全てではないですよ。それはあなたが一番よくご存知のはず。会長とお嬢の間に血の繋がりはないが、彼らは戸籍の上では血縁者だ」
ほぅ、そんなことまで知っていたとは。少し意外だった。
「認知していない子供は当然戸籍に載りませんよね」
俺はちょっと笑うと、顎に手を当てた。なかなかいいところを突いてくる。
「それは私に隠し子が居るということを言っているのか?」
俺の問いに、キョウスケはちょっと考えるように黙り込んだ。薄い唇を結んでいる。
「そうゆうことなら考え違いだ。悪いが私も忙しい身でね。お引取り願おう」
ことさら丁寧に言って腰をあげようとしたとき、キョウスケはジーンズのポケットから透明のビニール袋を取り出した。
それがまるで切り札であるかのよう、俺の前に突きつける。
その中身を見て、俺は目を開いた。