。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
ビニールの中には赤い数珠の珠が入っていた。
間違いない。あれはイチの持っていた数珠の一部だ。
「それが何か……?」
「お嬢がイチさんの数珠を引っ張ったときに取れたものです」
「それがどうした?そんなもの大事に取って置いても何の得にもならんぞ」
「問題は数珠じゃない。数珠に付着していた汗です」
汗………?
ドキリと心臓が嫌な音を立てた。
「知ってますよね?皮膚や毛髪、唾液や汗でDNA鑑定ができることを」
俺は思わず黙り込んだ。しかし、今動揺を見せるわけには行かない。
「まだ鑑定はしていないのだろう?比較する私のサンプルをお前は持っていない」
「今、拝借しました。あなたが認めなかった場合のことを考えて」
そう言ってキョウスケは一本の髪をつまんで見せた。
俺の……髪?いつの間に……
「鑑定をするのは簡単です。俺が大学に持っていけばいいだけのこと。だけどそれじゃ本来の意味を持たない。
俺の目的は―――イチとあなたの関係を暴くことじゃない」
俺は目を細めた。こいつをガキだと思って舐めていた自分がバカだった。
「なるほど、取り引きを持ちかけようって言うのか。お前の目的は何だ」
「話が早いですね。俺の目的はただ一つ―――俺か、戒さんを―――青龍会本部に連れて行ってください。もちろんそのときはお嬢も同伴で」
なるほど、そうきたか。