。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
途中までは順調だった。データの写しメモリが80%を過ぎた頃……
遠くで靴音がした。
「サーバーに異変が?」
Dr.鴇田の声だった。
「はい。監視カメラに異常はなかったのですが、パソコンを何者かが触った形跡がたった今…」
緊迫した男の声が聞こえてきた。
聞き覚えのない声だ。きっとこのデータを管理してる者だろう。
「それは困りましたね」
ドクターのちっとも困ったように聞こえない声がして、俺は焦った。
完了まで残り10%を切っている。
苛々とラックを叩いて、コピーされるメモリをじっと睨んだ。
足音が近づいてくる。
残り8%
ガチャガチャ
ドアノブを回す音がして、俺は目をみはった。
残り6%
「鍵は……掛かっているようですね」
4%…
早く…早く……!
こめかみから嫌な汗が流れ落ちた。
1%!
ガチャッ
扉が開いた―――