。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


途中までは順調だった。データの写しメモリが80%を過ぎた頃……


遠くで靴音がした。


「サーバーに異変が?」


Dr.鴇田の声だった。


「はい。監視カメラに異常はなかったのですが、パソコンを何者かが触った形跡がたった今…」


緊迫した男の声が聞こえてきた。


聞き覚えのない声だ。きっとこのデータを管理してる者だろう。


「それは困りましたね」


ドクターのちっとも困ったように聞こえない声がして、俺は焦った。


完了まで残り10%を切っている。


苛々とラックを叩いて、コピーされるメモリをじっと睨んだ。


足音が近づいてくる。


残り8%


ガチャガチャ


ドアノブを回す音がして、俺は目をみはった。


残り6%


「鍵は……掛かっているようですね」


4%…


早く…早く……!


こめかみから嫌な汗が流れ落ちた。


1%!


ガチャッ



扉が開いた―――







< 214 / 592 >

この作品をシェア

pagetop