。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


「危なかったぜ」


小さく声を漏らし、もう一度不手際がないかとモニターに目を向けたときだった。


「何が危なかったんですか?」とすぐ耳の後ろで声がした。


「フフッ」と意味深な笑みが聞こえ、俺は勢い良く振り返った。


それと同時にドクターは俺の首に腕を回し、首元に外科用メスが突きつけられる。


「な、何者だ!貴様っ!!!」


さっきドクターと入ってきた男が驚きの表情を浮かべ、一歩後ずさりした。


まずった―――な……


俺は目を細めて二人の様子を交互に見据えた。


ここで騒ぎを起こすのは良くない。


「君は見かけによらず大胆ですね。真昼間から、盗みに入るとは……」


「盗み?何のことです?」


俺はすっとぼけた。


今更遅いとは思うケド。


ドクターは興味深そうに笑顔を浮かべると、俺の頬に手を置いて


「こんなに可愛い顔して、やることは派手ですね」と意味深に低く囁いた。


ゾゾッと俺の背中に変な汗が流れ落ち、それでも俺は動揺を押し隠してドクターに笑いかけた。


秘儀!?天使の笑顔!


その攻撃にやられてか、ドクターはちょっと頬を緩める。


だがしかし、もう一人の男は今にも部屋を出ようと後ずさりしていた。


応援を呼ぶつもりに違いない。


俺はドクターの両頬を手で包んだ。





「先生………」





甘い声で囁いて顔をそっと近づけると、









―――「ぅ゛るぁあ゛!!」




豪快な頭突きをお見舞いしてやった。








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