。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
ヤバイ!!
何て言い訳しよう!
って考えていると、
「お前見るからに血が旨そうだもんな。蚊取り線香炊いとけよ?」なんていってあっさりスルー。
キ、キスマークだってバレてない??
叔父貴はあたしの首から手を離すと、さっきと変わらない調子でコーヒーに口を付け、
「ケーキ。食わないのか?食わなかったら俺が貰うぞ?」なんてマイペースにあたしのケーキが乗った皿を引き寄せている。
「いやっ!食う!食います!!」
あたしは慌ててフォークを握ると、皿を取り戻した。
正直ケーキの味なんて分からなかったけれど、何とか食い終わってあたしは慌てて立ち上がった。
「んじゃ叔父貴、またね!また来るね!」
と慌しく手を振り、あたしはほとんど逃げるように会長室を後にした。
扉の向こう側には当然鴇田が控えている―――と思ったのに、あいつの姿はなく
何だか拍子抜けしつつも、色んな衝撃を受けドキドキと波打っている心臓を宥めながら、あたしはエレベーターに乗り込んだ。
何だかいつもと様子が違う叔父貴に
あたしは始終調子を狂わされっぱなし。
しかも収穫は―――
このたった一枚の名刺だけだし。
あたしはポケットの中から芸能プロダクションの名刺を取り出して、まじまじと眺め、
それでも戒とキョウスケの待つ場所まで移動することを決めた。