。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
だけどあいつらは一つ屋根の下に一緒に暮らしているし、戒を追いかけて同じバイト先を選ぶほどだ。
戒から貰ったのだろう。ピンク色をした可愛らしい指輪も大切にしているようだし。
俺だったら―――
朔羅が望めば、あいつのためにジュエリー店ごとまるまる一軒買い取ってやれる。
だけどあいつは戒を選んだ。
いや……そう仕向けたのは俺だ。
自ら手放した手を、俺は後悔している。
朔羅の幸せのために―――そう思ったのに、俺はやっぱりあいつと戒が一緒に居るところを見ると、とてもじゃないが言葉にならないほど険悪な気分に陥る。
…………
しかも極めつけに―――!!
少し前偶然ショッピングモールで見かけたとき、あいつは友達と楽しそうに下着を選んでいやがった!
戒の為か?
そこまであいつのことが好きなのか―――?
ぎりぎりと歯軋りをしたい思いで、俺は戒のことを思い浮かべた。
まぁ容姿的には問題あるまい。
そんじょそこいらの女より可愛い顔つきをしてやがるぐらいだからな。
かくいう俺も―――時々あいつの天使のような笑顔に騙されかけるときがある。
ヤクザなんかよりも、詐欺師の方が合ってるよな。
まぁ詐欺師も頭が良くないと出来ない。あいつはそれ以上に頭がキレるヤツだが。
正直俺にはヤツが何を考えているのかさっぱりだ。
まだイチの方が可愛い……
イチ―――
俺が顔を上げると、鴇田が目の前に居て俺を眺めていた。
「瞑想は終わりましたか?」なんてやんわりと聞いてきて、俺は手を振った。
「瞑想じゃねぇ。妄想だ」
「はぁ」
俺の答えに鴇田は表情を歪め、それを見た俺はこいつに聞いてみた。
「なぁ朔羅はあいつと―――…戒と……その……もう―――」
言い辛いのは、言葉に出すとそれが現実な気がして、とてもじゃないが口にできん。
すると鴇田は
「ああ。まだ肉体関係はないんじゃないですかね」とあっさり。