。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「貴様そんなはっきりと言うンじゃねぇ!」
俺は再びデスクを叩いて威嚇したが、鴇田は先ほどのように驚きはしなかった。
どうやら俺が何を考えているのか分かったようだ。
だめだ…鴇田には何故か生気を吸い取られる。まぁ熱くなった俺を鎮めてくれるのは、こいつ以外誰も居ないのだが。
とにかく俺はこいつに弱い。
キョウスケもだ。弱いって言うより何か苦手……。あいつは何かヤクザっぽくなくて、俺の調子が狂わされる。
だけど、いかつくて見るからに強面揃いの組のもんより度胸が据わってやがるから厄介だ。
そのキョウスケが鴇田の元へ行った。それもイチの情報と引き換えに、青龍会本部に連れてけなどふざけた条件を出してきやがった。
大胆な考えだが、あいつは独特のテンポでそれを意図も簡単にやってのけた。
あなどれねぇヤツだな。
朔羅も―――きっと俺の何かを探りにきやがったに違いない。
まぁ俺とイチの間にはほとんどといって関わりがないから、探られても構わないが。
「申し訳ございませんでした。私が迂闊でした。まさかお嬢が数珠の一部を持ち帰っているとは……」
「お前が悪いわけじゃない。俺も迂闊だった。ついイチの名前を呼んだ。衛が居なかったらもっと厄介だった」
ため息をついて、背もたれに背を預ける。
「先ほど連絡が来ました。衛のところには虎間 戒が現れたそうです」
なるほど―――三人束になってかかってくると思ったが、
バラバラで行動することによって、俺たちの動きを封じ込めようっていう考え―――か。
「ふっ。おもしろい」
俺は手すりに肘を乗せ、手を組むと冷笑を漏らした。
俺の前では鴇田が表情を無くして突っ立ている。こいつはちっとも面白くなさそうだ。