。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「会長―――………」
鴇田に呼びかけられ、俺は想いから舞い戻った。
「大丈夫ですか?お顔の色が優れないようで……」
心配そうに眉をひそめている。
「ああ…今日は少し体調が良くない。でも心配するな。こんなこと良くあることだ」
ため息を吐いて、日本刀を鞘に納める。
キンっと耳に心地よい音が響いて、妖しいまでの光は鞘に収まった。
鞘と柄を握る両手を見下ろし、
痩せたな―――
なんて、しみじみ思う。
前はこんなに骨が出張っていたわけではない。それに最近は特に、ちょっとしたことでも体力的な衰えを実感する。
実際体重はどんどん減ってきている。それに伴って食事の量も変わってきた。
「今日は痛みがないだけましだ」
俺は微苦笑を返して、刀を鴇田に手渡した。少しだけ腰の辺りをさする。
朔羅に会うとき―――俺はつい身構えてしまう。
あいつと一緒に居るときに痛みに襲われたら―――あの耐え難い苦痛に、あいつの前でもし倒れでもしたら―――……
俺はあいつにいくつも隠し事があるな。
鴇田が日本刀をしまうその細い背中を見て、こいつにも、また俺の身勝手な願いに巻き込んでしまったことを
申し訳なく思う。