。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「はぁ?んなこたぁ…」
戒がキョウスケの手に握られた着物を覗き込む。
あたしもその横から着物に顔を寄せ、じっと見た。
白い着物……ちょっと凝ったデザインで銀糸で刺繍が―――
「あ!そうだっ!!間違いないよ。真っ白じゃなく銀糸で鳥の刺繍してあったもん。ちょっと変わったたデザインだなぁって思ったから間違いねぇ!」
「何でそんなもんあの変態医者が……」
戒も真剣な表情に戻り、着物をまじまじと見つめた。
着物の裾や造りなんかを確認してるみたい。鈴音姐さんの着物を見慣れてる筈だから、きっと目の付け所が違うはず。
やがて戒は襟に縫い付けられているタグを見て目を開いた。そして何を思ったのか他の衣装もひったくるように手にしてじっと凝視している。
「これ……ナース以外、全部テレビスタジオの衣装ナンバーがタグにふってある」
「テレビスタジオの衣装って、ドラマとか映画で女優さんたちが着てる衣装ってこと??」
あたしとキョウスケが覗き込んで、確かにスタジオ名とナンバーが振ってあることを確認する。
「戒さん、どうやら収穫ゼロじゃなさそうですね」
テレビスタジオ…………あ!
「も、もしかしてそのスタジオってこの名刺の芸能プロダクションと何か関係があるのかな!?」
あたしは叔父貴の引き出しの中から抜き取ってきた名刺を慌てて取り出して二人に見せた。