。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
両耳を押さえて、あたしは思わずその場にうずくまった。
「え!?停電?」暗闇の中でキョウスケの声が聞こえる。
「朔羅!大丈夫か!?」戒のちょっと緊迫した声が聞こえて、あたしは震える手を手探りに這わせた。
「だ、大丈夫じゃない……」
怖いよーーー!!叫びそうになるのを必死に堪えて、あたしは涙声で何とか答えた。
「近くで落雷があったようですね。お嬢、大丈夫ですか?」
「ちょっと待ってろ。懐中電灯。朔羅、どこだ?」
二人の声が暗闇の中で交差して、あたしはふいにどっちかの腕に抱き寄せられた。
どっちなんだろう……
体型が…何気に声の質も似てるからどっちか分からん!!
この際どっちでもいいや。とにかく怖い!
差し出される腕にあたしは必死にしがみついた。するとその力強い腕がぎゅっとあたしを抱きしめてくれた。
「朔羅……、大丈夫や。俺がついてる」
耳元で戒の優しい声が、あたしを宥めるように低く囁く。
とたんに気が抜けた。
戒――――!!!
怖くて……だけど、差し出された腕の温もりにほっと安堵してあたしは思わず戒の胸に縋って泣いた。
ゴロゴロ……ドーン!
二回目の雷鳴が轟き、あたしは耳を押さえて小さくなった。その背中を戒の手のひらが優しく撫でさすってくれる。
「あった。懐中電灯じゃないけど、ライター…」
シュボッと音がして、小さな炎が暗闇に浮かんだ。
ライターを握っているのは……キョウスケ。
そしてあたしを抱っこしてくれてたのは―――
やっぱり―――戒だった。