。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
ぼんやりと頼りなげな炎に照らされて、キョウスケの顔がゆらりと歪んだ気がした。
だけどそれはたぶん目の錯覚ってヤツで…
「お嬢、大丈夫ですか」
「停電やな。響輔、俺見てくるから朔羅を頼むわ」
戒がキョウスケの手からライターを受け取り、あたしの体をやんわりと引き剥がした。
「やだ!いかないで!!」
思わず声を荒げてあたしは戒に縋った。
「朔羅……」
ほとんど暗闇の中で、戒の表情が見えない。だけどきっと困ってる……
だけどあたしはこの手を離したくない。
「俺が行きます。戒さんはお嬢を…」
キョウスケがくるりと背を回したときだった。
「―――お嬢!お嬢っ!!どこですかっ!?」
廊下をバタバタ駆け回る音がして、あたしは顔を上げた。
「マサっ!!!ここだよ!」
叫ぶと、マサは声がした方を確認するように、この部屋の襖が勢い良く開いた。
懐中電灯の僅かな光りが見えて、
「お嬢…」
暗闇にぬぼ~……っと―――マサの青白い顔が浮かんでいる……
「「ギャーーーーー!!!!」」
あたしはひっくり返りそうな程声を上げた。