。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
雷!?
◇ 雷!? ◇
―――
――
遠くで雷鳴が轟いている。
曇った空を閃光が駆け巡り、閉じた視界の裏を不自然な程明るく照らされ……
あたしはぼんやりと目を開けた。
ゴロゴロ…
くぐもった雷の音が聞こえて、あたしはぎゅっと目を閉じる。
そうしているうちに浅い眠りがやってきて泡沫の夢を見る。
―――……夢の中であたしはまだ小さかった。
たぶん小学生もいってないぐらい。昔の夢だ―――
今日と同じように廊下の外では雷がごろごろと音を立てていた。
「わ゛ーーん…怖いよぉ」
一人廊下で佇んで、雷の音に怖くて足も動かせない。泣きながら…でもその声は鳴り響く雷の音が掻き消していった。
泣きべそをかいていたあたしは、ふいに大きな手に抱き上げられた。
温かくて、力強い腕。
「たくま」
あたしを軽々と抱っこしながら、今より若い叔父貴が頭を優しく撫でてくれる。
あのとき母さんが叔父貴のことを「たくま」と呼んでいたから、あたしもそれを真似してただけ。
でもあのときから叔父貴はあたしに優しかった。
「もう大丈夫だ、朔羅。俺がついてる」
大きな手で頭や背中を撫でられ、あたしは叔父貴の胸に必死にしがみついた記憶がある。
―――ゴロゴロ…ドーン!
リアルな雷の音が夢にまで響いて、あたしは夢から起こされた。