。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


でも……


昨日嗅いだあの香りは戒のものじゃなかった。


爽やかなシトラスの香り……


あたしはブランケットをかぶったキョウスケの顔あたりに顔を近づけてくんくんと鼻をひくつかせた。


ブランケットの合間からキョウスケがちょっと顔を出し、


「……あの…どうしたんですか?」とちょっと怪訝そうにあたしを見上げてくる。


「や!あのっ!!何でもありません!」


慌てて離れると、キョウスケはブランケットを頭まで引き上げてすっぽりとくるまった。


やっぱ、あの平然とした態度……


昨日のキスはキョウスケじゃないな。


うん!そうだっ!!


一人納得すると、テーブルに置いたケータイが急に鳴り出した。


~♪


朝から大音量で流れる極妻のメロディ。しかも着信の方だ。


「わ!わわっ」


さすがにこの音に気付いたのか、キョウスケも…さらには戒までも起き出して来た。


「何だよ……」


と、不機嫌そうに眉を寄せている。


「あ、で…電話……」慌ててケータイを指さすと、戒はふわっと大きな欠伸をした。


戒の欠伸を眺めている間に、メロディは消えた。







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