。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。



タク…あいつも朝から元気だよな…


あたしとマサは台所からちょっと顔を出すと、襖が開いた部屋からタクの豪快な笑い声と、戒の寝起きの沈んだ声が聞こえてきた。


「タクさん、それ…何ですか?」


「何って小倉トーストに決まってンじゃねぇか」


「小倉トースト?」とキョウスケの控えめな…ってかテンションの低い声も聞こえてる。


「何でぃ。お前ら知らねぇの?名古屋の大抵の喫茶店では小倉トーストをモーニングで出してくれるぜ?」
※出してくれるところもあります。殆どではありません。


「朝からあんこって……」


戒の声が沈んでいて、顔色を青くさせてるのが想像できた。


あたしだって、朝から小倉トーストはちょっと無理だ。


「そう言えばタクさんって愛知県出身って前言ってましたもんね。おいしいんですか、それ」


と、キョウスケ。


「おうよ!うめぇぞ!!お前らも食ってみるか?」


「「いえ、遠慮します」」


二人に断られ、「んだと!こらぁ!!小倉トーストを舐めんじゃねぇぞ!!」と怒鳴り声が聞こえてきた。


あたしは顔を引っ込めると、マサを見て


「やっぱいいや。もう少し考える」


と、額を押さえ……


準備に取り掛かった。



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