。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


「雷酷かったこと知ってたの?」


あたしが勢い込んで、キョウスケはちょっとびっくりしたように体を一歩後退させた。


「そりゃあの音ですから。俺は戒さんと違って結構神経質なんで…」


ってことは、あのキスもやっぱりキョウスケ!?


―――


ど、どうしよう!でも何で?何でキョウスケはあたしにキスしたの??


そんなことを考えてたら、あっという間に目的の場所まで辿りついていた。


「行きたかったとこ、ここ~」とリコに言われ、はっとなった。


目の前にはマツキヨの黄色い看板が出ている。


行きたいところってドラッグストアだったのかよ。


そう思いつつも、あたしはリコに手を引かれて店内に入った。


店の中は化粧品を中心とした棚が並んでいて、ビューティーアドバイザーのきれいなお姉さんがうろうろしている。


お客も若い女の子ばかりだった。


「新しいグロスが欲しくて~」とリコは棚と棚の間を歩いていく。


グロスかぁ…


何気なくリコの唇を見ると、淡いピンクのグロスがきれいに乗っていた。


じー…と見つめていると、何だかあの柔らかそうな唇に吸い込まれそうで……


「朔羅??」と呼ばれて、すぐ至近距離にあるリコがちょっと怪訝そうにあたしを見ていて、あたしは慌てて顔を離した。


いかん、いかん。思わず唇に目が釘付けだった。


危うくリコにキスするところだったよ。


って、あたし変態!?





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