。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「こっちとこっちの色どっちが合うと思う?」
そう言って手に取ったのは一方は淡いピンクのラメが入ったグロス。もう一方はちょっと濃いピンクで印象的には大人っぽくなりそうだ。
「うーん…こっちの薄い方がリコって感じかなぁ?」
ラメ入りの方を指差すと、「響輔さんはどっちが好みだろ~?」とぶつぶつ言いながらも、結局濃い方を棚に戻した。
「キョウスケは上品でナチュラルな感じが好きだと思うよ?だからこっちでいいじゃんねぇ?」ってはっきりは知らないけど。何かそんな感じ…
「そっかー!じゃ、これにする♪」
現金なリコは楽しそうに頷いて、
「朔羅はメイクとか全然しないよね。たまにはやってみたら?ほらっ試供品あるし!」と言いながらグロスコーナーを目配せした。
「え~?グロスって何だかべたべたするし…」
「もぉ!朔羅ってば、せっかく可愛いんだからもっとお洒落しなよ」と言ったリコはどこか楽しそう。
きれいに陳列された口紅やグロスを見て、「わぁ!すっごいな。こんなに種類あるんだ♪」とあたしもわくわく。
そーいやあたし化粧品なんて一個も持ってないや。
やったことなんてないし。やり方なんて分かないし。
「この色なんか朔羅にぴったり☆」そう言って取り出してくれたのは、桜色をした淡~いピンクの口紅。
わ…きれいな色……
パールがかかっていて、ためしに塗るとうるうるした感じで唇に乗った。
「に、似合う…?」恐る恐る聞いてみると、
「すっごく似合う!超!可愛いよ♪ちょっと朔羅、次マスカラ行こっ」無理やり引っ張っていかれてマスカラを塗られ、次にチーク売り場に移動したときあたしはちょっとへとへとだった。
「お洒落って大変だな」
そう漏らすと、「たまには思い切りメイクしてちょっと違った感じでデートでもしなよ!」とリコにアドバイスされた。
違った感じでデート…う~ん……それもアリかもしれない。
なんて考えてると、リコがぴたっと脚を止めた。