。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


「デートって言えばサ。“これ”は必需品だよね」


そう言って指差した方を何となく見やってあたしは目を剥いた。


棚に堂々と置いてあるゴムの売り場で、あたしはその場で固まった。


「正直言ってさぁ、朔羅たちってどこまで進んでるの~?」


きれいな色のパッケージを眺めながら、リコが何気なく聞いてくる。


「ど、どこまでって!?」あまりの爆弾質問にあたしの声は裏返った。


「やだぁ~あたしの口から言わす気ぃ」とリコは体をくねくね。


いや、あたしの口からだってそんなこと言えやしねぇよ。


「だってぇ同じおうちで暮らしてるわけでしょぉ??夜這いとかされないの?」


「よ、夜這い!?」


思ったより大きな声が出て、少し遠くにいた客たちがあたしたちの方を注目してる。


あたしは慌てて口を噤んだ。


「と、とりあえず!この場所でその話題はまずいよ!場所変えよっ!!」あたしが提案すると、リコはにんまり。


「場所変えたら教えてくれるんだ~♪」


しまった!


「じゃ、さっき選んだグロス早速買ってこよ~♪ちょうどお昼だし。ごはん食べながらゆっくり聞かせてね★」


スキップしながらレジに向かうリコの頭に悪魔の角が、おしりには尻尾が見えた気がする。


デビルリコ到来!


あたしはリコに選んでもらった口紅を手にしてぼーぜんとその後ろ姿を見送った。







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