。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「妄想中失礼します。お嬢が見たいのは墓だけですか?もしそこに何か隠されてるとしたら、正規のルートで行くわけには行かないですよね」
妄想終了。
あたしのバーチャル墓参りはあっけなく幕を下ろした。
「まぁ頼んであっさり入れてくれなさそうだしな。第一それだったら、俺たちはその中には入れないな」
戒は―――――戸籍上では“龍崎”だ。
だけどその中に流れる血は間違いなく、“白虎”のもの。
そんな人間が“青龍”の墓場に向かうことは許されないだろう。
だけど…
あたしは膝の上でぎゅっと拳を握った。
「だけど、母さんは嬉しいと思う。あたしが…す、好きになった人を紹介するわけだし。青龍とか、白虎とかそんなん関係ないよ」
あたしの言葉に戒はちょっとだけキョウスケを見て、二人が目を合わせると、二人とも同じタイミングでふっと笑った。
「やっぱり朔羅やな。俺が好きになったんがお前で良かった」
戒はあたしの顔を覗き込むと、頭を優しく撫でてきた。
キョウスケの前だから恥ずかしいけど、でもちょっと―――嬉しい。
あたしは照れ隠しに、わざと顔を背けると話題を変えた。
「そいやさぁ、この前、鴇田と母さんの話したよ。あいつとそんな話するのって始めてでさ。何か変な感じだったんだよね」
あたしの話に深い意味なんてない。
ただちょっと思い出したから。
「へぇ。あのおっさんお前の母ちゃんのこと知ってたのかよ」
「まぁ叔父貴の姉だし?仲良かったみたいだよ」
「その二人案外、昔の恋人だったりして」
キョウスケがサラリと爆弾を落とした。