。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


「妄想中失礼します。お嬢が見たいのは墓だけですか?もしそこに何か隠されてるとしたら、正規のルートで行くわけには行かないですよね」


妄想終了。


あたしのバーチャル墓参りはあっけなく幕を下ろした。


「まぁ頼んであっさり入れてくれなさそうだしな。第一それだったら、俺たちはその中には入れないな」


戒は―――――戸籍上では“龍崎”だ。


だけどその中に流れる血は間違いなく、“白虎”のもの。


そんな人間が“青龍”の墓場に向かうことは許されないだろう。


だけど…


あたしは膝の上でぎゅっと拳を握った。





「だけど、母さんは嬉しいと思う。あたしが…す、好きになった人を紹介するわけだし。青龍とか、白虎とかそんなん関係ないよ」





あたしの言葉に戒はちょっとだけキョウスケを見て、二人が目を合わせると、二人とも同じタイミングでふっと笑った。





「やっぱり朔羅やな。俺が好きになったんがお前で良かった」





戒はあたしの顔を覗き込むと、頭を優しく撫でてきた。


キョウスケの前だから恥ずかしいけど、でもちょっと―――嬉しい。


あたしは照れ隠しに、わざと顔を背けると話題を変えた。


「そいやさぁ、この前、鴇田と母さんの話したよ。あいつとそんな話するのって始めてでさ。何か変な感じだったんだよね」


あたしの話に深い意味なんてない。


ただちょっと思い出したから。


「へぇ。あのおっさんお前の母ちゃんのこと知ってたのかよ」


「まぁ叔父貴の姉だし?仲良かったみたいだよ」





「その二人案外、昔の恋人だったりして」






キョウスケがサラリと爆弾を落とした。





< 30 / 592 >

この作品をシェア

pagetop