。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「映画公開の初日に記者会見を開くそうですが、それまで彼女は謎のベールに包まれたまま」
「客寄せだろ?どうせ謎めいた美女ってとこに食いつく野郎ども狙いだぜ」と戒は腕を組んだ。
確かにあの雰囲気は…謎めいていた。
でも女優だったら何となく納得。
前に二人が言ってた、「もっともらしい効果」を狙ったわけも、それを信じ込ませるだけの演技力もあの女には備わっていた。
「問題はドクターだ。あいつ何であの衣装持ってたんだ?」
「しかもそれを戒さんに渡して答えに導こうとしている」
「あいつは相変わらず敵なのか味方なのか分かんねぇな。やっぱあの変態の娘か??」
「そう結びつけるのは安直ですよ。まだ鴇田さん(弟)の方が可能性とはして高い」
「娘っていうセンは薄そうだな。年齢的にちょっと無理があるって言うか…」
「じゃあ歳の離れた妹とか従姉弟とか?」
「鴇田さん、親戚は居ないって言ってました。唯一の血縁者は兄のドクターだけですね」
「その話を信じるのかよ」
そんなことを話しているうちにリコが雑誌を一冊持って戻ってきた。
「ごめん。やっぱ残ってたのは一冊しかなかった」
「一冊でも充分だよ。無理言ってごめんな」
「お手数をおかけしまして」とキョウスケも小さく頭を下げる。
「このお礼は響輔と一日デート券で~♪」と戒は調子の良いことを言ってキョウスケの肩をぐいと押している。
「あ、あはは~。もう響輔さん困ってるじゃん」とリコは恥ずかしそうに笑っている。
困ってる…?のかどうか全く分からないけど、深くは突っ込まずあたしは持ってきてくれた雑誌を広げた。
パラパラと雑誌をめくりながら、四人で覗き込む。