。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「さて―――と、邪魔な二人は消えたわけやし、腹割って話そや」
戒があたしの隣で不敵な笑みを浮かべた。
挑発的に千里を見ると、千里もあからさまに表情を険しくさせた。
「今更腹割るも何もないだろ?俺は朔羅に気持ち伝えたし。それとも何?お前は俺が朔羅の周りをうろちょろするのが気に入らないのか?」
「まぁ気に入らないっちゃ気に入らないが、あからさまに牽制すると朔羅が信頼してるダチを失うからな~」と戒はどこまでも余裕顔。
それが気に入らないのか、千里は今にも歯をむき出して噛み付きそうな勢いだ。
あたしはまさに一触即発のその雰囲気をはらはらと見守るしかなかった。
「俺には歴史がある。小さい頃から朔羅を守ってきたし、これからだって守る自信はある。朔羅を想う気持ちも誰にも負けない!」
千里が先取攻撃をしかけた。
それを戒はうまくかわす。
「俺にはお前ほどの歴史がないけど、って言うか歴史だったら誰よりも浅いか…」
誰と比べてるんだよ。叔父貴か?
「せやかて気持ちの上じゃ誰にも負けへんで。想いの強さは長さじゃあらへん。ようは中身の濃さってことやないか」
戒のストレートが千里のボディに直接攻撃をけしかけ、千里が一瞬ひるんだ。
「お、俺だって……」
千里が口を噤んだ。
「せ、千里」
あたしは千里を覗き込むと、ずっと先延ばしにしてきた言葉を口に出そうと開いた。