。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
膝の辺りをぎゅっと握って、千里を見つめると千里が不安そうに眉を寄せていた。
「ごめん千里……あたしは戒が……」
言いかけたとき、
「お待たせしました」
キョウスケの淡々とした、でもちょっと低い声が頭上から振ってきてあたしはゆっくりと顔を上げた。
キョウスケの背中に隠れるようになっていたリコが何事かおずおずと顔を覗かせる。
キョウスケの顔はやっぱり表情がなくて、何を考えてるのかさっぱりだったけれど、戒は面白くなさそうにテーブルに肘を突いた。
「間の悪いヤツ」
「良いっていってくれませんかね」
何か……前にも聞いたやりとり?
「まぁここは焼肉屋だし?この続きはまた今度」
仕掛けたのは自分なのに、戒は手を打つとテーブルを立ち上がった。
キョウスケが来なかったらあたしは―――
戒が好き。こいつじゃないとダメなんだ。
そう言おうと思ってたのに……
すっかりタイミングを逃した。
――――
――
焼肉の支払いは男三人が持ってくれた。
でも一番多く出してくれたのはキョウスケみたい。
「悪いよ。あたしらも結構食べたし」
「そうですよ。少し払います」
とあたしとリコが申し出ると、
「お前らそんなに食ってねぇじゃん。それにこうゆうとこは男が払うもんだから、気にするな」と戒がにこやかに言ってあたしの口の中にキャンディを投げ入れる。