。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
そーいやあたしカラオケボックスは入ったことあるけど、戒が歌ってるところ聞いたことないや!
え…ほ、ホントにONCHI??
何て疑いの目で戒をじっと見ると、その視線に気付いた戒がキョウスケと顔を合わせて二人ともちょっと肩をすくめた。
「俺の兄ちゃんたちな、失恋するたびに俺らを引っ張ってカラオケで失恋会してたんだ」
「それも決まってオールで」
と二人とも思い出すだけでうんざりと言った感じだった。
「戒さんが龍崎くるって決まったときも、お二人がわざわざ東京に出てきてまで俺、引っ張られました。覚えてません?俺が次の日、玄関で倒れこんだこと」
キョウスケに言われてあたしはう゛~ん、と首を捻った。
「あ、そだ!そーゆうこともあったね!キョウスケがやられたって言ってあたしが『出入りだ!』って喚いてたのを覚えてる。
あれは……そーゆうことだったの…」
「あいつら容赦ないからな。流石に朝まで歌い詰めはしんどいわ」と戒が肩を押さえた。
失恋会って……
何か……お兄さんたち、益々イメージが……
「でも川上も一ノ瀬も居るし、カラオケでいいぜ?ついでに進藤の野郎も誘ってやるか」と戒はケータイを取り出している。
「え!?キモ金髪も呼ぶの??余計ややこしい事態になりそう…」
あたしは口元を押さえたけど、戒はマイペースに電話中。
「もしもし?進藤?俺~♪今、暇?暇だよな!朔羅とその他大勢でカラオケやるから来いよな」
なんて強引に誘っている。朔羅とその他大勢って…可哀想じゃねぇかよ。
「ま、人数多いほうが楽しいですし、緩衝材にはいいんじゃないですか?」とキョウスケもマイペース。
緩衝材……
あたしは前を歩く千里を見て、
う゛~~~ん…確かに。と納得してしまった。
このメンバーで何もなければいいいけど…
あたしはそれが心配だった。