。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
しとやかに、しとやかに…
口の中でぶつぶつ言っていると、
「朔羅、何歌う?」とすぐ隣に座った千里がタッチパネルリモコンを持って聞いてきて、あたしも覗きこんだ。
一気に距離が短くなり千里の顔が間近にあって、あたしたちは二人揃って慌てて顔を離した。
「わ!わりぃ」
って……この言葉遣いからもうすでにおしとやかじゃないっつうの!
「西野カナなんてどうだ?お前声可愛いし♪」と隣から戒の声が聞こえ、さりげなくあたしの腕を取りながら千里から引き剥がす。どうやら戒にとってあたしの口の悪さはあんまりマイナスじゃないみたい。
「お前が歌ってほしいだけだろ」と千里が戒を睨んだ。
さっきの焼肉のフォーメーションと全く同じ!
「お前に捧ぐ。BestFriendをな♪」なんて戒が挑発するように千里を見て、千里は今にも飛び掛りそうな勢いだった。
「はい!」あたしは勢いよく挙手した。
「なんでしょう」キョウスケが聞いてくる。
「せ、席替え…しませんか?」
あたしの提案を
「「いいですね」」とあたしの意見を飲んだのは、キョウスケとキモ金髪野郎だけだった。
それでも3対3だし、さっきと同じじゃ味気ないからってことで席替えが成立。
な、なんか合コンみたい。行ったことないけど、色々聞いたりして知ってる。
と言う訳で、リコが書いたメモをみんなが引いて……
結果
もっと酷いことに(?)なった。
あたしの左隣には戒、右隣にはキョウスケ。
向かい側に、千里、リコ、キモ金髪の順に座っている。
「龍崎!!お前!なんで朔羅の隣なんだよ!変な細工でもしたんじゃねぇのか!!」
と向かい側で千里がキャンキャン。
「は?してねぇし。ってか席が遠くたって俺と朔羅は心で繋がってるもんね」と戒は子供みたいにあかんべをしている。
「ま、まぁまぁお二人とも。そう喧嘩せずに楽しみましょうよ」とキモ金髪野郎が珍しく気の利いた台詞。
その言葉に大人気ないと気付いたのか、二人はぶすりとしていたが静かになった。
なるほど…いい緩衝材だぜ。