。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
あたしの腕を掴んでいた男たちは、キョウスケの出現にびっくりしてその腕に込める力を少しだけ緩めた。
「何や、お前ら」
キョウスケは腕を組んだまま、不機嫌(そう)に男たちを睨み上げる。
「そ、そっちこそ…」
男たちが怯んだように一歩後退する。
キョウスケが一歩詰め寄った。
男からあたしの腕を奪うように引き戻すと、
「俺の女に何さらしとんのや。
それ以上何かしてみぃ。ただじゃ済まへんで」
低い声が頭上から聞こえてきて、目の前の男たちは顔を真っ青にして慌てて逃げていった。
キョウスケは決して声を荒げたわけじゃない。
怒鳴ったわけでもない。
だけどその低い声は―――相手にそれだけのダメージを与えるのは充分だった。
キョウスケはあたしの手を握ったまま、男たちの方を忌々しそうに睨んでいる。
キョウスケはあたしの腕を乱暴に引き寄せたわけじゃない。
だけどその手のひらから伝わってくる体温が、キョウスケの怒りそのものに思えた。