。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
朔羅さん―――
キョウスケに初めて名前を呼ばれた。
「朔羅さんのこと―――」
あのあとキョウスケは何を続けたかったの?
いくら鈍感なあたしでも、何となく―――勘付くよ。
だからさっきはあんなに機嫌が悪かったんだ。
ねぇ……いつから?
いつからあたしのことを―――?
キョウスケは好きな人が居るって言ってた。
いつもさりげなく隣に居て、いつも支えてくれる。助けてくれる。
向けられる視線はいつも穏やかで、いつだって優しさに満ち溢れていた。
だから停電の夜にキョウスケがキスしてきたって気付いても―――
怖いとは―――思わなかった。
でもこれで確信した。
やっぱりあのときのキスは、キョウスケだったんだね。
戒は―――きっと知ってるよね………いや、キスのことじゃなく、キョウスケの気持ちに。
知ってたから、あんな風に見えない攻撃し合ってたんだね、二人とも…
キョウスケがあたしのことを―――
キョウスケのことは嫌いじゃないよ。むしろ好きなぐらい。
でもそれは男としてじゃなくて、身内として、人間として―――
でもそれはキョウスケの望む“好き”じゃない。
同じものを返せるのはあたしじゃなく―――
あたしの脳裏にふっとリコの笑顔が蘇った。
一人ならまだしも、二人目も……なんて、あたし今度こそリコに顔向けできない。
あたし
どうすればいいんだろう……
先を行くキョウスケの細い背中を見つめながら、そんなことを考えていると
ふと強い視線を感じた。
!?