。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。

*リコSide*



☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆

・☆ リコSide ☆・


響輔さんが「トイレ」と言って席を立ってから10分経過していた。


「ちょっと見てくる」


「放っておけよ。子供じゃないんだし」


龍崎くんは本当に何でもない様子。あんまり空気が読めない千里と進藤先輩もさすがにこの状況に戸惑っているみたい。


心配そうに表情を曇らせる朔羅を見て、あたしも腰を上げようとした。


だけど


前の席から龍崎くんの脚が伸びてきて、あたしが立ち上がるのを阻んだ。


びっくりして目の前を見ると、龍崎くんはそ知らぬ顔をして、歌本をめくっている。


ってか!ちょっと!!


どこに脚入れてンのよ!


振り払おうと、足をずらそうとすると、龍崎くんのつま先はあたしの足首から膝へと昇ってきた。


えっ!


再び龍崎くんを見たけど、龍崎くんは素知らぬ顔でひたすらページをめくり続けている。


さ、朔羅……


あたしは朔羅を見上げたけど、朔羅はあたしの視線に気付かずに行っちゃった。


気まずそうに…だけどちょっと助けを求めるつもりで千里を見たけれど、千里は進藤先輩と話し中で全くあたしの視線に気付かない。


もぉ~~どうして気付かないのよ!バカ千里!!


心の中で叫ぶと、


パタン


朔羅は完全に扉の向こうへ行ってしまった。





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