。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


すぐには帰ってこない……?


様子が変だった響輔さん。そして彼を追っていった朔羅―――


「は?意味分かんないし…」


あたしは膝の上でぎゅっと拳を握った。


「お前にゃ悪いケド、響輔は無理だぜ?」


龍崎くんが再びビールのグラスを口に近づけて言った。


スカートを握る手に力が入った。


「きょ…響輔さんが朔羅を好きってこと?」


何となく……分かってた。ホントにほんの少しだけど、あたしは気付かないふりをしていた。


「ショック受けたって顔してる。どっちがショック?朔羅に対して?それとも響輔に?」


龍崎くんは唐突にあたしを覗き込んで、聞いてきた。


あたしがちょっと顔を上げると、真正面から龍崎くんの真剣な視線と空中でぶつかった。


何か…やっぱあたしこの人に隠し事ってできないや。


朔羅の前ではあんなに自分を偽れるのに。


あたしは観念して吐息をつくと、





「どっちもだよ。朔羅にも、響輔さんにも」







あたしの気持ちは一言で言い表せない程複雑なの。



そう続けると、ようやく龍崎くんは穏やかな微笑みを浮かべた。




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