。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


「なら良かった」


そう言って龍崎くんがするりと腕をあたしの肩から抜く。


「良かったって何が…?」


「朔羅のこと忘れるために、響輔を好きって言ってるんならちょっと考えてた。でもお前が少しでも響輔のことを男として好きなら、それでいいや」


ちょっと考えてた…ってこのヒトあたしが「そうだ」って答えてたらどーするつもりだったんだろ!


ちょっと怖くなって、あたしは龍崎くんから離れようとした。


「まぁまぁ♪とって食おうってわけじゃないんだし。大体俺女の子には手を上げないから安心しろよ」


手はあげないけど、違う意味で手は出すかな♪


なんて意味深に囁いて、それでもあたしの肩をまた引き寄せる。


手を出すって!あたし危うく犯されてたってこと!?


でも……龍崎くんの手はさっきの力強い腕じゃなくて、気軽な感じだった。


あたしはもう逃げようとはせずに大人しくされるがままにした。


「龍崎くんて、響輔さんのことホントに好きなんだね」


ふと思ったことを口にすると、龍崎くんはちょっと目を開いてまばたきをして、


そして恥ずかしそうに顔を背ける。


「好きじゃねぇよ。ただ大切なだけ」


くすっ


あたしはちょっとだけ笑みを漏らして、


「それが好きって言うんだよ。龍崎くんて天邪鬼だね♪」と勝ち誇った。





< 344 / 592 >

この作品をシェア

pagetop