。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「でもいいの?響輔さんのところに朔羅を行かせて」
朔羅は龍崎くん一筋だから響輔さんにいくってことはないだろうけど―――それでもあんなイケメンで優しい人から言い寄られたら、気持ちが揺らがないはずがない。
「そりゃ心配だけど、俺は朔羅の気持ちを信じてるし、それに―――響輔とはイーブンでいきたいんだ」
龍崎くんは組んだ膝の上で頬杖をついて、遠くへ視線を投げかけていた。
「イーブン……」
「そ。朔羅との縁談話は最初から決まってて、でもあいつはきっと長い間朔羅に片思いしてたに違いねぇ。いきなり来た俺にかっさらわれるなんて、癪だろう?納得だっていかねぇし」
「だから……だから、さっきからわざと響輔さんを怒らせるようなことしたの?」
龍崎くんは遠くに向けた視線をあたしの方に戻した。
「勘がいいな。そゆうこと♪このままだったらいつまで経ってもあいつ動かねぇ気がしたしな。ま、さっきの態度からするとありゃ相当怒ってる筈だから、
何かアクション起こすんじゃね?」
「人それぞれペースってもんがあるでしょ」呆れてあたしはため息を吐いた。
龍崎くんはちょっと寂しそうに笑うと、
「そうは言ってられねぇんだ。もう少しで、俺はあいつと結婚する。そうなったら―――響輔は、手出しができなくなる」
もう少し……
龍崎くんの言うその言葉は酷く悲しそうであり、同時に寂しさを滲ませているようだった。