。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「あ、暑いですね!ここっ」進藤が立ち上がりエアコンの温度を調整する。
「まぁこんだけ人数居りゃな」
俺の答えに進藤がぎこちなく笑みを返してきた。
「女の子も居るわけだし、あんまり温度下げないほうがいいんじゃないですか」
と響輔。視線は朔羅の方を彷徨ったままだ。
その視線に気付いてか、朔羅は大げさに手を振ると、
「あ、あたしはちょっと暑かった!リコは??暑くない?」と川上に話を振る。
「あ…あたしは丁度いいかな…」
川上も朔羅の様子が変なことに気付いている。
さっきあんな話ししたばっかだもんな。
「朔羅。こっち来いよ。こっちなら冷房当たってるから涼しいぞ」と何も気付いていない一ノ瀬が手招きしている。
一ノ瀬の隣は角で、隣には一ノ瀬以外誰も居ない。
朔羅はここでようやく笑顔を見せた。
どこかほっとしていうように見えた。
移動する朔羅を見送って―――俺は響輔を見ると、
膝の上で手を組んで、まるで射るようにこっちを見ているあいつと露骨に視線が合った。
俺もその視線に無言の圧力を掛けて送り返す。
空中で絡まる無言の視線。
「渡さへんで」
お互いがそう言っているように
思えた。