。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


「あ、姐さん!」


と進藤は戸惑っていたが、朔羅は強引に進藤の顔を引き寄せると、今度は額にブチュゥとキスをしていた。


キ、キス魔!!?


だから響輔があれほど止めたのか!


「さ、朔羅!帰るぞ!」慌てて朔羅の方に回り込もうとしたが、進藤の足につまづいて、体のバランスを崩す。


俺も動揺してたんだな、きっと。


「兄貴、大丈夫ですか?」と助け起こされ、すぐ顔を上げたが、


「響ちゃんもキスしようぜ~」なんて言って今度は一ノ瀬の体を跨いで、響輔の方へ移動しているし。


「さ、朔羅!どーしちゃったんだよ!」と一ノ瀬が慌てて朔羅の体を掴み、引き寄せたが、


「おめぇとは一回しただろ?今度はキョウスケの番だ。離しやがれっ」


ドカッ


朔羅の強烈なパンチを食らって、一ノ瀬はノックアウト。


みっともなく後ろに引っくり返った。


「千里!ちょっと朔羅!!ほんっとにどうしちゃったのよー」


川上も止めに入ろうと腰を上げ、反対方向からあいつらの席へ回った。


すると朔羅は響輔から目を離し、


「リコ♪」にぱっと笑みを浮かべる。


な…何かいやぁな予感……


朔羅は川上の肩に手を置いて顔を近づけた。


「さ、朔羅!」さすがの川上も慌ててる。その間に響輔が割って入った。


「お嬢。リコさんは女の子ですよ」慌てて言うも、朔羅は面白くなさそうに響輔を睨み上げる。


「それがなんでぃ。男だとか女だとか、おめぇも小せぇ野郎だな」


「何とでも言ってください。とりあえずやめてください。リコさん困ってるじゃありませんか」


冷静に言って、響輔は朔羅の体を川上から引き剥がす。


その隙に俺は朔羅の後ろに回りこんだ。


朔羅の向こう側で響輔が困ったように眉を寄せている。


朔羅は響輔に止められてもなお、手をばたばたさせていた。


どうやらよっぽど川上とキスしたいようだ。


「朔羅、帰るぞ」俺が朔羅の肩に手を置くと、朔羅は急に大人しくなった。


ちょっと潤んだ目で俺を見上げてくると、


「戒……」朔羅は白い頬をピンク色に染めて俺に抱きついてきた。





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