。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。

*一結Side*




◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.◆

.。*†*。. 一結Side .。*†*。.



街のカラオケボックスの前で龍崎 朔羅を目撃したのは三日ほど前。


あのときあたしは街で買い物するために変装していた。黒の長い髪のウィッグに、キャップを被って。


Tシャツとジーンズといういでたちで、目深に被ったキャップのお陰か通り過ぎる人たちは誰もあたしが“you”だとは気付かなかった。


と言うか行きかう人々は一段と華やかな雰囲気を振りまいている龍崎 朔羅の方に視線が釘付けだった。


「お!あの髪の長い女の子可愛い~!!モデルかな??」


「ホントだ。女優じゃね?何かきらきらしてっぞ。隣にいる子も結構可愛くね?」


と若い男たちが噂し、


「ねね。あの子たちすっごいイケメンじゃない?」


「わっ!ホントだぁ。背も高いし、モデルかな」


女たちが黄色い声を上げている。


あら。偶然だけど、意外なところで意外な団体と出くわした。


あたしは口の端を吊り上げて、ケータイを取り出し、協力者の“あの男”に電話を掛けた。


「もしもし、あたし♪今すぐこれから言うところまで来て」


『今すぐ?せっかくの休暇なんだから勘弁して』と男は不服の声を漏らす。


「年中休暇みたいなもんでしょ?いいから早く来てよ?」


そう言って強引に通話を切ってやった。


それから龍崎 朔羅たち一行はすぐ近くのカラオケボックスに入っていった。


そのすぐ後にスーツ姿にノーネクタイといういでたちの男が到着した。


どうやら休暇と言うのは本当のことらしい。慌てて出てきたのが窺い知れる。


あたしは男を引っ張って、龍崎 朔羅のあとに続いた。




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