。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


まるであたしの反応を楽しむかのように鷹雄はスピードをあげていく。


あたしは慌ててギアを入れ替えた。


鷹雄のシャドウファントムを追いかけると、鷹雄はさらにスピードをあげた。


振り切るつもり?そうはさせるもんですか。


“取り引き”を持ちかけるには今しかないんだから―――


スピードメーターはどんどん上がっていく。


120k、140k、150……


180を超えた辺りで、ケータイが震えた。


「はい!」乱暴に電話に出ると、


『楽しそうだね♪』とのんびりとした“協力者”からの声。


「今それどころじゃないの。鷹雄に間違いないわよね!」怒鳴るように言うと相手はちょっと失笑を漏らして、


『間違いない。どうしたんだよ、そんなに苛々して。まさか“あの日”…』


最後まで聞かずにあたしは通話を強引に切って、そのまま電源まで切って後部座席に放り投げた。


これで邪魔は消えた。


あたしはギアを入れ替えた。


追い越し車線である右斜線に斜線変更して鷹雄のバイクと並ぶと、ちらりと鷹雄を見た。


鷹雄もハンドルを握りながらこっちをちらりと振り返る。


その顔にはやっぱり余裕の笑みが浮かんでいた。


ふっ


あたしも笑みを返した。



この男……面白い。









< 372 / 592 >

この作品をシェア

pagetop