。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
まるであたしの反応を楽しむかのように鷹雄はスピードをあげていく。
あたしは慌ててギアを入れ替えた。
鷹雄のシャドウファントムを追いかけると、鷹雄はさらにスピードをあげた。
振り切るつもり?そうはさせるもんですか。
“取り引き”を持ちかけるには今しかないんだから―――
スピードメーターはどんどん上がっていく。
120k、140k、150……
180を超えた辺りで、ケータイが震えた。
「はい!」乱暴に電話に出ると、
『楽しそうだね♪』とのんびりとした“協力者”からの声。
「今それどころじゃないの。鷹雄に間違いないわよね!」怒鳴るように言うと相手はちょっと失笑を漏らして、
『間違いない。どうしたんだよ、そんなに苛々して。まさか“あの日”…』
最後まで聞かずにあたしは通話を強引に切って、そのまま電源まで切って後部座席に放り投げた。
これで邪魔は消えた。
あたしはギアを入れ替えた。
追い越し車線である右斜線に斜線変更して鷹雄のバイクと並ぶと、ちらりと鷹雄を見た。
鷹雄もハンドルを握りながらこっちをちらりと振り返る。
その顔にはやっぱり余裕の笑みが浮かんでいた。
ふっ
あたしも笑みを返した。
この男……面白い。