。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「あ、あたしは―――
戒が好き。
あいつじゃないとダメなんだ。
そりゃあいつは二重人格だし、時々何考えてるかわかんないし、態度でかいし、強引だし、意外に寂しがりだし、俺様だし、エロいし―――」
って……
あたしあいつの悪いとこばっかり!
キョウスケはそれに苦笑を漏らした。
そしてちょっと遠くの方を見て―――「まぁでも憎めないんですよね、何故か」と感慨深げに笑った。
最近―――キョウスケはちょっとだけ、笑うようになった。
ほんのちょっとだけど……
やっぱりお前は―――笑ってた方がいいよ―――
「あたしはキョウスケが好き」
キョウスケがちょっとだけ顔を上げる。その表情に浮かべた笑顔がぴたりと止まり、まるでときが静止したみたいになった。
「でも恋愛の好きじゃない。家族として―――人間として……すごく好き」
キョウスケは時間を解いて、唇に淡い笑みを浮かべ、また口を開いた。
戒さんは……
と、口にしてキョウスケはゆっくりと喋りだした。
「それでも情に熱いし、まっすぐだし―――おまけに誰よりも優しいんです。あの人は」
「………うん、知ってる。お前はあいつと付き合いが長いから、あたしよりあいつのいいとこ悪いとこいっぱい知ってるだろうけど。
あたしはそんな戒が全部好き。
あたしが手を繋いで、この先を―――未来を共にしたいのは
あいつだけなんだ」