。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


戒のまっすぐに注がれるあたしへの愛情。


腿の龍のタトゥーが想いの強さを物語っていた。


あいつはいつだってあたしを助けて、そして守ってくれる。


この世のどんな汚いこと、いやなことから全部―――


過去も、想いも全部―――受け止めてくれる。


それだけじゃない。


いつの間にかあたしの中はいつもあいつで溢れるようになった。


あいつに触れられるとドキドキするし、あいつにキスされると心が熱くなる。


笑顔も声も―――全部。




あたしは戒が好き。





長い言葉をつむぎだし、最後にあたしはこの一言で締めくくらせた。







「だから、ごめん。お前の想いには答えられない」




「俺も好きですよ。戒さんのこと」



キョウスケは儚げに笑うと、ちょっと腕を伸ばしてあたしの頭を軽く叩いた。


戒や叔父貴みたいなあったかい手―――


その温度に、どこかほっとする。


「よう分かりました。あなたの気持ちを全部。だから泣かんといてください」


そう言われて、あたしは始めて自分が涙を流してることに気付いた。


慌てて涙を拭おうにも、涙は後から後からあふれ出してくる。


あれ……?あたし何で泣いてるんだろ…





でも



ごめんね…キョスウケ。ごめん。





いつもあたしを支えてくれた人。


静かだけど―――あんまりあたしのことを聞いてこないけど、何も語らずとも何もかも包んでくれた人。


あったかくて、優しくて。


大好きだよ。



でもそれはキョウスケの求める愛情じゃない。




本当に




ごめんなさい。



幾ら言っても足りないだろうケド、あたしは何度も心の中で謝った。





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