。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「お嬢!こいつ熱あります」とタクが心配そうにキョウスケの両肩に手を置いてあたしを見上げてきた。
「熱!?おいっ!大丈夫か!?」
思わずあたしもキョウスケの元へ駆け寄った。その勢いでキョウスケの額にそっと手のひらを当てると、異常なまでの熱を手のひらに感じた。
「……大丈夫……です」と言いながらも何とか起き上がろうとするキョウスケ。
でもふらふらしてすぐにタクに寄りかかった。
「無理するなよ!おめぇひでぇ熱だぞ」
さすがのキョウスケも高熱を出してふらふらの状態で、いつもみたいな平生を保っていられないみたい。
「………しんど…」と眉間に皺を寄せて、固く目を閉じている。
「おいっ、タク。今日こいつ休ませるから店には他の連中と行ってくれ」
「へ、へぇ。お嬢がこいつについててくれるんですかい」とタクが心配そうにキョウスケをちょっと見る。
「おう。任せとけ。こんな状態のヤツほったらかしてバイト行けるかよ」
龍崎家は昼間ほとんど留守になることが多い。
大抵は貸金業をはじめとする、金融業者や不動産会社に働きに行くから。
戒は―――今日のシフトは午後からだった。
それまで一緒に居てもらえれば、こいつだって心強いだろう。
そんな思いでキョウスケを見て、
「おい、キョウスケ。お前は今日お休みだ。ゆっくり寝にいきな」とあたしは二階を指し示した。
キョウスケはのろのろと頷いて、
「……すみません…」と力なく言うと、ゆっくり立ち上がった。