。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


ふらふらする足取りで廊下を歩くキョウスケを見送って―――あたしは慌てて台所の食器棚の下にある薬箱を漁った。


風邪薬、風邪薬―――……


あ、そだ。薬飲む前に何か食ったほうがいいよな。


って言っても食欲なんてまるでなさそうだし。


でも弱ってるときだからこそ、栄養のあるもん食わせないと。


そう思って野菜いっぱいの雑炊を作っているときだった。


「……はよ~…」とのんびりと欠伸をしながら戒が台所を覗いてきた。


「何だよ、おめぇ随分早いじゃねぇか。昼からだろ?」


いつもギリギリまで眠りこけているはずなのに、こっちも随分早起きだ。


って言うか寝てない??髪には寝癖がついてなかったし、寝起きだというのにパジャマに皺の一つももついてなかった。


寝起きの姿なのに、寝た形跡が見られない。


「あー……なんか目ぇ覚めちまって」と戒は大きな欠伸をしながらも、鍋の中を覗き込む。


「雑炊?誰か具合でも悪いのか―――?」


戒の質問にあたしはちょっと上の方を見て―――


「それがさぁ……」


と、キョウスケが熱があることを話した。









< 393 / 592 >

この作品をシェア

pagetop