。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
戒は「普段の鍛え方が足りないんじゃねぇのか」なんて言い出すと思いきや、
「何ぃ!?響輔が熱!!」
かっと目を開いてこっちがびっくりするぐらいの勢いで勢い込んできて、あたしがこくこく頷くと、
「響ちゃんっ!」と言って、まるで嵐のように二階に走っていった。
あいつらホント仲いいよなぁ。まるで恋人が大病を患ったかのような心配の仕方だった。
戒……あいつキョウスケに迷惑かけなきゃいいけど…
雑炊を作り終えて、風邪薬と一緒にキョウスケの部屋の前まで運ぶとあたしはそろりと中の様子を窺った。
キョウスケは―――布団に体を横たえているみたいだったけど、その枕元で正座している戒は―――
「響ちゃん!大丈夫か!?何か欲しいものとかない?アイスとかゼリーとか。あ!プリンあるよ!プリンっ!!」
と懸命に話しかけている。
何か―――母親を心配する子供みたい……
ちょっと可愛いかも…なんて様子を窺っていると、
「……戒さん……ちょぉ静かにしてもらえます……?」とキョウスケが切れ切れに答えた。言葉に覇気がなく弱々しい。
その言葉に戒はしゅんと頭を項垂れていた。
ふ、不謹慎だけど―――なんか戒、すっげぇ可愛い!
ちょっと様子を見守っていると、戒はキョウスケの布団をめくってごそごそと潜り込んだ。
「な、何やってるんだよ!」
慌てて部屋に入ると、布団からちょっと顔を出したまるで子ひつじちゃんみたいな戒が、
「だって響ちゃんが寂しそうだったから、添い寝してあげようかと思って…」なんてこれまた可愛らしい声で答える。
それでも…
「お前はただ寝たいだけだろ!」あたしが戒のお腹をぎゅぅと踏みつけると、
戒は痛そうにしながらも、「へへ、ばれたぁ?」と超絶可愛らしい声で、可愛い笑顔を浮かべた。