。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「も、もちろんそのすぐ後に断ったケド!」
慌てて言って、それでも言ってしまってから後悔した。
こんな風に簡単に言って終わらせるもんじゃないよな。キョウスケにだって、こいつを好きなリコにだって悪い気がした。
「―――……ごめん」
ほとんど消え入るような声で謝ると、リコの手がそっとあたしの手に重なった。
リコの手は、まるでキョウスケの体温を共有しているかのように熱かった。
あたしがゆっくりと顔を上げると、リコは真剣な顔であたしを見つめていた。
「朔羅が悪いわけじゃないよ。謝らないで」
あたしはちょっと戸惑ったように眉を寄せて、片方の手を胸に置いた。
正直そう言ってくれて、心苦しい部分が和らいだけど、
そんな考えを浮かべているあたし自身が卑怯で嫌で、それを思うと心臓に痛みが走った。
「―――リコ…」
「そりゃ朔羅がどうしうようもない魔性の女で、意地悪で性格も悪かったら、あたしも考えてただろうけど、朔羅がすっごく一途ですっごく優しい子だってあたしは知ってるから。
だから自分を責めないでよ」
リコはあたしを覗き込むようにして言って、ちょっとはみかみながら笑った。
そしてキョウスケの方をちらりと見ると、
「あたしはキョウスケさんが好き。
キョウスケさんは朔羅が好きで―――
朔羅は龍崎くんを……
だけどあたしは
朔羅も好きなんだ……」