。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「朔羅っ!!」戒の怒鳴り声が聞こえて、それでも鴇田の手が緩まることはなかった。
「静かにしろ。ここで騒ぎ立てるのは懸命じゃないぞ?」と鴇田の冷静な低い声が聞こえて、あたしはちょっと顔を戻した。
鴇田の手の力に抵抗しようとあたしはヤツの腕を両手で掴んだが、もの凄い力は緩まることがない。
それどころか奪われていく酸素に、手足が痺れだした。
「頭の良いお前ならどうするのが一番なのか、分かるよな?虎間」
低く笑うように言って鴇田は戒を見据えた。
戒は眉間の皺をより一層深くさせて鴇田を睨んでいる。
「狙いは何だ」
戒が低く唸るように言うと、鴇田は喉の奥でくっと笑い声を漏らした。
「キョウスケより話が分かる奴で良かった。まぁ人質二人だからお前には相当分が悪いだろうな」
鴇田の指があたしの喉を一層圧迫して、息ができなくなる。
苦しくてあたしは口を開けて酸素を求めた。
「朔羅っ!!鴇田、何が欲しい!言えよ!!」
と戒が怒鳴ると同時だった。
「―――朔羅!響輔さんっ!!」
リコの声が聞こえて、鴇田の手が一瞬緩まった。気道を絞めつけていた指から開放され、
その瞬間あたしは思い切り息を吸い込んだ。
肺が悲鳴を上げて激しく咳き込み、それでも体勢を整えると、腕をバネにして脚を振り上げた。
あたしの蹴りは鴇田の体に命中することなく、寸ででヤツの腕で阻止され、そのまま足首を捕まれる。
「朔羅っ!!」
「川上!来るなっ!」戒の怒鳴り声が聞こえたけど、リコが立ち去った気配はない。
鴇田の両手が塞がっていたことを確認した戒が、素早く脚を振り上げた。
ガッ
鈍い音がして、戒の脚をあたしの足首から離した腕で鴇田が止める。
「どうしたんですか~?騒がしい…って、あれ?組長??どーしたんですか?」
タイガののんびりした声が聞こえ、
「大狼!」
鴇田の怒鳴り声を聞いた。