。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
それでもキョウスケは僅かに首を振った。
「響輔っ!いいから答えろ!」
戒が怒鳴ると、ちょっとだけ鴇田の手が緩まった。
「……ほんまに…知らへん……」
キョウスケが苦しげに呻く。
「お前も強情だな。早く吐かないと、ここに居る誰かの首が折れるぞ?
ねぇお嬢?」
まるで愉しむように耳元でそっと囁かれて、あたしの首の裏にぞっと鳥肌が浮かんだ。
あたしが油断してた。
この細腕からは想像が出来ないほど、こいつは遥かに強くて、場慣れしている。
キョウスケやリコを人質に捕られてなきゃ、こんなヤツ倒してみせる自信はあるのに。
それでもこうして首を絞められてるのは、完全なあたしの落ち度だ。
鴇田に首を絞められながらも、あたしは少ない脳みそで考えた。
何故鴇田はイチのピアスなんて欲しがるのか。
だってキョウスケが持っていたのはピアスじゃなく、数珠の破片だ。
それもあたしが引きちぎったヤツ。
あれはキョウスケが鴇田に渡してもうないし、第一何でキョウスケがイチのピアスなんて持ってる?
「響輔!!」戒が珍しく余裕のない顔で怒鳴り声を上げても、キョウスケはただ首を振るだけ。
鴇田の腕があたしの首を一層強く絞めあげて、あたしは思わず目を開いた。
そのときだった。
「何をしている?」
聞きなれた重低音に、あたしは目を開いて声のした方を見た。